【テックブログ】マップエンジニアが解説!屋内MMS計測の難しさと効率化への挑戦

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【テックブログ】マップエンジニアが解説!屋内MMS計測の難しさと効率化への挑戦

こんにちは、データ技術部 部長のA.T.です。高精度3次元地図データを作成するために欠かせない計測技術の一つに、MMS(Mobile Mapping System)があります。MMSは車両にLiDARやカメラ、GNSS受信機、IMUなどを搭載し、走行しながら周辺環境を効率よく計測できるシステムです。一般的には道路計測のイメージが強いですが、私たちは屋外だけでなく物流センターや工場などの屋内計測も行っています。

しかし、屋内MMS計測は決して簡単ではありません。2026年5月に計測を行った東京流通センター(TRC)のような大規模物流施設では、その難しさが特に顕著に現れます。
(参考リリース: 東京流通センターとダイナミックマッププラットフォーム、都心最大級の物流施設の高精度3次元地図データ整備を完了

本コラムでは、屋内におけるMMS計測の難しさと、効率的かつ高品質な計測を実現するための工夫について解説します。

なぜ屋内ではMMS計測が難しいのか

MMSによる計測では、GNSSの衛星測位情報を活用した自己位置推定が非常に重要です。しかし屋内では衛星信号を受信できないため、自己位置を高精度に把握し続けることが難しくなり、屋外と比べて計測難易度が大きく上がります。

特にTRCのような大規模物流施設では、その影響がより大きくなります。TRCの倉庫は6階建ての構造となっており、屋上ではGNSSを利用した補正やGCP(Ground Control Point:基準点)による位置補正が可能です。しかし、建物内部の各フロアでは衛星信号が受信できないため、同じ方法を適用することができません。

6階建て物流施設をどのように計測したのか

このような環境では、建物全体を一度に計測するのではなく、フロアごとに計測を実施します。具体的には、屋外から計測を開始し、対象フロアを走行して再び屋外へ戻るという作業をフロアの数だけ繰り返します。その後、後処理によって各フロアの点群データを正しい位置に補正しながら接続し、最終的に一つの点群データとして統合します。

今回のTRC計測では、この方法によって高精度3次元データを作成することができました。

当社が計測した東京流通センター(TRC)の高精度3次元点群データ

精度をさらに高めるためのGCP活用

一方で、施設構造や計測条件によっては、この方法だけでは十分な精度を確保できない場合もあります。その際には衛星受信に頼らない、トータルステーションという測量機器を利用し、各フロア内にGCP(基準点)を設置して位置補正を行います。これにより位置精度を向上させることができますが、その分、基準点設置や観測作業が必要となるため、計測コストや工数は大幅に増加します。

高精度化と効率化の両立は、屋内計測における大きなテーマの一つです。

MMSと固定式LiDAR、どちらを選ぶべきか

精度向上のための別のアプローチとして、固定式LiDARを用いて各フロアを個別に計測する方法もあります。

固定式LiDARは高密度かつ高精細な計測が可能です。一方で、衛星信号を利用して位置を把握する手法を持たないため、GCPの設置に加え、機器の設置やスキャン位置の選定、複数データの統合作業が必要になります。広大な施設では作業量が大きくなりやすく、計測期間やコストへの影響も無視できません。

そのため私たちは、できる限りMMSを活用しながら、品質・効率・コストのバランスが取れた計測手法を検討しています。

品質・コスト・期間の最適解を探る

計測技術の世界では、「時間と費用をかければ計測できる」ケースは少なくありません。しかし実際の現場で求められるのは、限られた期間とコストの中で必要な品質を確保することです。

どの機材を使い、どのルートで計測し、どこまで補正を行うのか。物流施設や工場などの屋内空間を高精度にデジタル化するニーズは今後さらに高まっていくと考えられます。

要求される品質と効率のバランスを見極めながら最適な計測手法を選択することこそが、マップエンジニアの腕の見せどころであり、地図づくりの難しさであり面白さでもあります。私たちはこれからも、さまざまな現場で高品質な3次元地図データの整備に挑戦していきます。

筆者

A.T.

データ技術部 部長

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