【テックブログ】3DGSの次のステージへ ― マルチモーダルで再定義する空間生成

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【テックブログ】3DGSの次のステージへ ― マルチモーダルで再定義する空間生成

こんにちは、ソフトウェア技術部のK.M.です。

当社では、「Data for AI」の取り組みのもと、AIモデル開発やシミュレーションにおいて即時利用可能な「AIネイティブデータ」の整備・提供に向けた研究開発を進めています。
過去コラムでは、3D Gaussian Splatting(3DGS)を中心とした最新の3次元再構成技術や、AIネイティブデータとしての応用可能性について紹介してきました。

今回はその続編として、ダイナミックマッププラットフォームが保有する実データアセットを用いた3DGS生成の初期プロトタイプ検証について、技術的観点から現時点での到達点と課題を整理します。

なお、本稿で扱う内容は研究開発の初期段階における評価・試行結果であり、品質・安定性・再現性のいずれの面でも、実運用や商用利用を前提としたものではありません。
現時点での到達点と課題を整理しつつ、当社としてどのような方向性で研究開発を進めているかを共有することを目的としています。

開発初期プロトタイプの位置づけ

当社は2026年6月にAIネイティブデータのプロトタイプとして、3DGSによる交差点データを機械学習コミュニティ向けプラットフォーム「Hugging Face」に公開しました。


Hugging Faceは、世界中のAI開発者が集まる“データの集積点”とも言える存在です。ここにデータを置くことは、単なる公開ではなく、AI開発の現場に直接接続することを意味します。

今回作成したプロトタイプは、

  • 既存の公開3DGS手法・実装
  • 当社が保有する実環境データ


を用いて、「どの程度の3D表現が成立するか」「どこに重要な課題があるか」を把握することを主目的としています。

現時点では、

  • ガウシアンの分布密度や視点依存性による表現の不安定さ
  • 遠景・構造物エッジ部における再現性の低下
  • トラッキング誤差や入力データ条件に起因する局所的な乱れ


など、基礎的な技術課題が顕在化しており、技術検証としての価値は確認できつつある段階です。

AIネイティブデータのプロトタイプイメージ(点群データ・画像・3DGS等を統合した交差点データ)

一般的な3DGSパイプラインとその制約

多くの3DGS研究・実装は、

  • マルチビュー画像のみを入力
  • Structure-from-Motion / Camera Pose 推定結果を前提
  • 幾何制約を暗黙的に学習に委ねる


という構成をとっています。

このアプローチは、処理系がシンプルである一方で、

  • 観測条件への依存度が高い
  • 幾何的な一貫性の担保が難しい
  • 再現性・再利用性の評価が難しい


といった課題を内包しています。

当社では、これらの制約を前提として受け入れるのではなく、既存の地図・計測資産と組み合わせることで構造的に補完できないかという観点で検討を進めています。

当社が検討しているデータアセット活用の方向性

当社が保有するデータアセットには、

  • 高密度なLiDAR点群による幾何情報
  • 図化・整備された高精度3次元地図データ(レーン、道路境界、構造物等)
  • 時系列で管理された計測データ


といった情報が含まれます。これらを同時に保有し、統合的に活用可能な基盤を持つ点は当社データの特徴の一つです。

これらを3DGS生成プロセスにどのように活用できるかについて、現在は以下のような観点で検討しています。

  • 初期幾何構造の制約として使えないか
  • ガウシアン配置・密度制御に寄与しないか
  • 意味的境界(Semantic Information)の補助情報として使えないか


重要なのは、これらが「必ず有効である」と結論づける段階にはないという点です。「画像だけで生成する3DGS」と比較して、当社のデータアセットを活用することに本質的なBenefitがあるのか。この点を冷静に見極めながら、研究開発を進めています。

現時点で見えている技術的課題

初期検証を通じて、以下のような課題認識を持っています。

  • データ種類が増えることでパイプライン設計が複雑化する
  • 3DGS特有の表現と厳密な幾何制約との整合
  • 品質評価指標の定義(用途別・距離別・構造別)


これらは単なる実装上の問題ではなく、
「3DGSをどの用途で、何の代替/補完と位置付けるのか」
という設計思想とも密接に関わる論点です。

今後の研究開発と情報発信について

今回公開するプロトタイプは、研究開発の出発点に過ぎません。今後は、

  • データ構成の整理とパイプライン簡素化
  • 高精度3次元地図データ/点群データ活用の有効性評価
  • 用途を限定した品質基準の定義


などを通じて、高精度な測量の実測値に基づく3DGSについて段階的にアップデートを重ねていく予定です。

本コラムについても、研究開発の進捗に応じて継続的に情報発信を行っていきます。初期段階ならではの試行錯誤も含め、当社としての技術的スタンスを透明性をもって共有していくことで、3DGS技術の健全な理解につながればと考えています。


【参考動画】
本動画は、公開3DGS手法を前提に自社データを用いて生成した初期検証結果です。
品質評価や実用性の結論を示すものではありません。


今後も検証を重ねながら、本技術の適用可能性について継続的に検討・発信していきます。

筆者

ソフトウェア技術部 部長

K.M.

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