自動運転で空港の人手不足に貢献!中部国際空港セントレアでの実証実験の成果とは

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自動運転で空港の人手不足に貢献!中部国際空港セントレアでの実証実験の成果とは

2025年3月9日(日)~11日(火)に、中部国際空港セントレアの制限区域内にて、高精度3次元地図データ(HDマップ)を搭載した自動運転バスの実証実験を実施しました。当サイトにニュースリリースケーススタディも掲載しましたが、現場の目線から、より詳細に背景や成果についてお届けします。

公共エリアの社会課題に切り込む「BRIDGE」事業

当社は内閣府の「研究開発成果とSociety 5.0との橋渡しプログラム(BRIDGE)」の施策の1つである、経済産業省による「公共エリア向けダイナミックマップの開発」の研究開発事業を2023年11月より受託しています。その中で当社は、空港や港湾などの制限区域内での自動運転に必要となる技術開発を担っており、本実証実験はその一環で実施しました。

空港業界では、コロナ禍以降の観光・ビジネス等による需要の回復や、インバウンド需要の増加に対する人手不足が課題となっています。特に、2030年には訪日外国人数を6,000万人とする国の目標も掲げられており、空港内の省人・省力化が急務となっています。これを受け、空港業界では、自動運転車両の導入など先端技術を活用した「航空イノベーション」の導入が進められています。

空港制限区域向けHDマップイメージ

このような背景があり、当社はこの「BRIDGE」事業において、空港内を走るさまざまな車両の自動運転に必要となる「公共エリア向けダイナミックマップ」の基盤としての「空港制限区域向けHDマップ」を開発しています。特に空港では、車両の停止場所・退避場所、航空機が走行する経路との合流地点における優先走行順など、独特かつ複雑なルールがあり、自動運転においてはカメラやセンサーのみでは認識に限界がある可能性があります。そこで、こうした情報を含むHDマップが基盤データとして必要になるのです。

本実証は、この空港制限区域向けHDマップを搭載した自動運転車両での初の実証の場でした。自動運転車両による走行確認と、課題の抽出を目的として実施しました。

参考:徹底解説!社名の由来でもある「ダイナミックマップ」とは?

HDマップ搭載の自動運転バスで複数ルートを走行

実際に使用した自動運転バス

今回の実証では、ティアフォー社製自動運転EVバス「Minibus 1.0」に、本事業で開発した空港制限区域向けHDマップを搭載して使用しました。実際に中部国際空港セントレアの制限区域内を自動運転レベル2相当で走らせることで、HDマップを用いて問題なく走行することが可能かどうかを検証しました。走行はトーイングトラクターおよび旅客バスを想定した2つのルートで実施し、さまざまなシチュエーションを想定した実証を行いました。

メディア向け説明会も実施!実際の自動運転バスへの乗車も

3月10日にはメディア向けの説明会も開き、定員いっぱいの記者の皆さんにご参加いただきました。当日は執行役員 ビジネス統括・雨谷 広道から実証内容について説明したほか、実際にメディアの皆さんに自動運転バスへ乗車いただき、今回の実証実験の意義や今後の展望などに関する質疑応答の場も設けました。

メディア向け説明会の様子
自動運転バス乗車中の様子

実証結果と今後の展望 ~2025年度中にさらなる実証実験も予定

今回の実証により、想定したルートにおいて、空港制限区域向けHDマップを搭載した自動運転車両による走行が可能であることを確認できました。

一方で、HDマップのみでは交差点での対向車や車両の死角にいる歩行者などの検知が難しい場面もあります。より空港内の安全性を考慮した自動運転走行を実現するには、ダイナミックマップが必要です。航空機や死角に存在する他車両・歩行者といった動的な情報を事前に車両に提供し、車両が走行可否を判断する仕組みとしてのダイナミックマップが重要になります。

今回の実証結果を踏まえ、ダイナミックマップを活用した空港制限区域内での実証を2025年度に予定しています。

新たなモビリティ社会の実現を目指し、引き続き邁進してまいります!

筆者

プロジェクト事業部 担当部長

Y.O.

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